ふと、背後に人が立った気配を感じ、振り返ってみたけど誰もいなかった。



「あーあ、見られちゃったか」



気の抜けたような声に視線を元に戻そうとしたら、首に強烈な圧迫感が加わる。



「か……は……っ」



突然呼吸が出来なくなった。



首を締め付けるのは暗闇から伸びる手で、俺はその手の主を顔を確認しようと目を開けた。



そこにあったのは暗闇に赤い瞳を持つ若い男の姿だった。



男の姿に、胸の鼓動が大きく跳ねた。



鼓動がうるさいくらい速い。



これは恐怖から来るものじゃない。



この鼓動は──。