夏祭りの会場へと行き交う人々が次第に増える。

このまま、秋十を見失ってしまいそうだ。

途端に不安と怖い気持ちが胸に残る。


私はぐるんと坂道へと向いて一気に駆け出そうとした。



「ねぇ、ニーナ!待って!もう一つだけ……っ、教えてあげる!」


「え?ひーちゃん、もう一つ……?」



ひーちゃんが意を決したように頷けば、お花の飾りをつけたポニーテールが可愛く揺れた。



「あのね……ニーナが、堤に告白しにいった時。大騒ぎだったんだよって言ったでしょ?」


「うん……」



確か……と、私は記憶を辿る。


ひーちゃんが堤先輩のことをこれでもかってくらいに罵倒してて……