「それに、雑巾だって投げられて……」


「あ、それは蜷深が汚いって言われてたからだよ」


「えっ?」



唐突、口を開いた晴くんに弾けたように顔を上げた。



「女子が陰口叩いてたんだよ。蜷深の服、いつも一緒だねって。クスクス笑ってて、楽しそうにしてたから……」



あの頃、私はひーちゃん以外の女の子達になかなか受け入れてもらえなかった。


陰口を叩かれていたのも知っていたけれど。



「……給食の時も、そう。自分達の食べれない物は貧乏な蜷深に分けてあげようって話してて。アキ、怒ってた。すごく」


「水泳の授業の時もね、自由時間なのに、桐生くんだけずっと隣のレーンのニーナのこと見てたから。アレは応援してたんじゃないかな……って」