「ニーナ?どうした……?」



颯太の声がやけに遠くに聞こえる。

ドクドク、とたちまち鼓動が暴れだす。



「……やっと、気づいた?」



視線を交わすひーちゃんの声がどこか悲しげで。



「ひーちゃん……?」


臨海学習の時、言っていたよね?



ーーーー“その時が来たら、ニーナに教えてあげるよ”



「初めて気づいたのは雨の日だったかな……ニーナの委員会が終わるのを待ってたら、偶然……見ちゃったの」


「な、何を?」


「桐生くんがニーナの傘を隠すところ」


「え?」



お母さんが買ってくれたお気に入りの私の傘。

朝は確かにあったのに放課後にはなくなってた。

犯人は秋十で……。