いつもでかい声で笑う人。
そのクセ、いつも、ただ黙って俺を見てきた人。
俺の担任ーーー、
“蜷深 誠二(せいじ)”…………。
「に、蜷深先生……っ困りますよ?あなたの受け持ちのクラスの子なのですから悪い子はきちんと叱ってもらわな………、」
「秋十はいい子ですよ?子供に、悪い子なんていませんから」
「なっ、何を言ってるのですか!?悪いものは悪いと、教える必要があります……!」
「悪いのは、周りの大人ではないですか?もちろん、僕も例外じゃないです」
先生の腕に抱き上げられた俺は、初めて許されたような気持ちになった。
「子供は、みんないい子ですよ」
本当は、もう泣いてしまいたかった。