「ーーー晴達の学校に転校する前、小二の時。俺……どうしようもない問題児だったらしい。こんな低学年のうちからこれじゃあ……って、教師は、みんなお手上げで」



自嘲気味な笑みがどこか寂しそうに揺れる。



「気持ち伝えるより先に頭で考えて、結局毎回クラスメイトに声かけれなくて、それが……睨んでるって誤解されて。怖がられてるのはわかってたつもり」


「……、」


「注意されて、誤解を解こうとすれば教師に制されて。謝りなさいって言われれば、納得出来なくて。いざ本音を口にすれば、それが……嘘だって受け取られた」


「……、」



「オオカミ少年……って。俺は、嘘なんかついたことないけど、教師からもクラスメイトからもそう呼ばれてた」



私より一年早く転校してきた秋十。

実は転校生だということを感じさせないくらい、人気者でクラスの中心にいた。



だから、オオカミ少年なんて。


そんなこと、きっと、誰も知らない。