「じゃあ、来れるだろ?」
その言い方に心臓がざわざわと音をたてる。
来れる……なんて。
まるで私が行けないってわかってる口調。
「違う条件にしてよ……夏祭りには、行かない」
不安にも似た気持ちが沸き上がって、咄嗟にくるりと踵を返した。
「逃げるのかよ?」
秋十の澄んだ声が私の背中に刺さる。
振り返れば、一瞬。
夏の陽射しに目を焼いて、白い世界に染まる。
「……そうやって閉じ込めて、思い出さないつもりか?」
「え……っ?」
ーーー思い出さない?
陽炎に揺れる秋十が怒りを宿した瞳で私を見つめていた。