「ニーナ?帰りにアイス買って、そこのベンチで食べようか?お母さんには内緒で」


「………いらないもん」


「お?珍しいなぁ。今日は100円のアイスじゃなくてもいいんだぞ?」



私は仏頂面でそっぽを向いたのに、あははってお父さんは笑った。


お父さんは明るくて声がでかくて豪快に笑う。

小学校の先生っていうより八百屋さんみたい。


でもお母さんはそんな飾らないところが好きだったんだって教えてくれたことがある。



「そんな顔してると、本当にそんな顔になっちゃうぞー?」


「な、ならないもんっ!」



スーパーを出てからもふてくされて歩く私を、お父さんは叱りもしないで笑いながら追いかけてくる。


本当は嬉しかったのに……。