「な、なぁに?お母さん……」


「ニーナとお父さんの話をしたのは久しぶりだなぁって思ってね?」



言われてみれば久しぶりかも。

私がお父さんのことをあまり話さないから。


でも、きっとその理由も、お母さんはわかっているんだと思う。


なんでもお見通しなんだ。

それでいてお母さんはきっと私からもっとお父さんの話をするのを、待っててくれているんだ。



ーーーあの、溶けてしまいそうな夏の日。



お母さんに頼まれて私はお父さんとカレーの材料を買いに、近所のスーパーに行った。

ジージージーって、蝉がうるさい茹だるような暑さが続く7月。