これじゃあ図星みたい……。
私が、桐生秋十を好き………?
まさか、それだけは絶対にないって思ってた。
だけど、強く否定出来ない私がいる。
「そんな顔なんて、してないよ……、」
「してるだろ?オレにはわかるっての」
「痛っ、」
視線を泳がせる私のおでこを指で弾いた。
「ニーナのことずっと見てきたから。だから、オレはわかるんだよ……」
鼓動がドキリと揺れたのは、颯太の声が真剣味を帯びていたから。
ーーーー颯太の名前は入学してすぐに覚えた。
みんなが「颯太」って呼んでいるのを何度も耳にしたから。
最初は名字か名前かわからなかったけど。
颯太の周りにはいつも人が集まってて、笑い声が溢れてて、みんなが笑顔になる。
その光景がすごく眩しかったんだ。