「…で?どうするの? 淳」


「………」




――― そうだった…


会社に帰ってからも
素材として録り貯めている絵から
使える物を拾って行く作業や
テロップを入れたりと色々とあって


ミチルから連絡が来るまで
ホントに、スッパリと
この竹カゴの中の存在を
俺は見事に忘れていた…


部屋中に漂う、赤ん坊の 甘いにおい
それでいやがおうにも
非現実な現実に、引き戻される




「いや…
どうするって凄まれてもよ…」


「覚えのある女の子は?
―… って言ってもムリか…」


「……」


「じゃあ連絡先は?
それでも長いこと絡んでた子
それなりに居たじゃない

アキさんは違うとして…
…ハルちゃんは?」


「それは絶対無い」


「なんで?」


「…と思う」


「……

あ!じゃあ結構
一緒にツーリングとかしてた
あの…あ〜何て言ったっけ

あの子とか、後は…

…ていうか
こうやって話してると
淳、とんでもないわね…」


「……」


「携帯貸してよ
それか、最近突然
連絡して来た子とか、いないの?」


「いないし…
それに携帯換えた時
全然連絡取ってない奴の番号とか
…女の番号とかは
軒並み、全部消したからよ…」


「……うわっ!少なっ!
なにこれっ!

あ、ちょっと待って!

そろそろミルク
冷めて来たからあげて来るわ!」