「うおヤベエっ!!また泣き出した!」
「…あっ」
真木に何か ――
上手くまとまらないけど
何か、謝罪みたいな言葉を言おうとして
けれどそれは赤ん坊の雄叫びで
一瞬にして消えた
そしておもむろにベットの横に座って
真剣に草の穂を、右へ左へ動かす真木
「お!」
「…お?」
赤ん坊は ふとした拍子に
その存在に気付いたらしく
『何だろう』といった眼で
高速で動く、緑の物体を追った
―――― が
すぐに小さな顔を歪めて
さっきよりも、はるかに響く大声で
こちらには判らない不満を
泣き声に変えて、とにかく叫ぶ
「やっぱりこれでもダメか」
「真木それ猫じゃら…
どっから取って来たのよ!」
「酒買いに行った時に、下に生えてた」
「生えてたじゃねえよ!
それに猫から離れようって!」
「赤ん坊ってよ
夕日見て、泣くのな」
「―― は?」