居心地の悪さに、つい口が動いた。



「え、…っと…血がツイテマスヨ?」
「あ゛?」



明らかに機嫌の悪い声。

唸るような、低い、よく響く声だ。




って!



何言ってるんだあたし!?





怒った。今絶対怒った!

眼光が鋭くなって、どうにもいたたまれない。

ぎゅっとお弁当を握りしめた指先が痛い。

ひきつった笑みを何とか貼り付けて、あたしはかろうじて一歩後ずさった。



「はは。ハハハハ…さようなら!」
「待てよ!」
「ひぃっ!!!」



鋭い声にびくりと体がすくむ。




体がうまく動かない。




ぎりぎり音がしそうなほど、ぎこちない動きで振り返る。