「ね」

「なに」

「逃げないから。手、離してもらっていい?」

「なんで」

「すんごい周りの視線が痛い。
・・・見られてる自覚あるでしょ」

「・・・わかった」




パッと手を離されると、ついてきてと目で合図を送られた。

だんだん人気が無くなっていく廊下の先には、屋上への階段。

ちょっと湿っぽいような暗い階段を上がると、鈍い音をたててドアが開いた。

促されて屋上に足を踏み入れると、真っ青な空が飛び込んできた。





お昼なのに誰もいない。

想像以上に静かな場所。




ゆるゆる流れていく雲を眺めていたら、いつの間にか隣に日向君が立っていた。