予鈴が鳴って、席に着く。

それは、特進科だから当たり前の事なんだと気付いたのは、入学してから三日も経たない頃からで。

旧校舎に目をやれば、相も変わらず、何かをしでかしては楽しそうに笑う彼らが見えるだけ。

ふっと視線を外して、カーディガンの袖を伸ばす。

手の平半分まで伸ばした袖を掴んでから、その両手で顎を支える。

本鈴がなるまでの五分間。これがいつものスタイル。

先生が本鈴と共に教室に入る。

適当に挨拶をした直後、板書にすらすらと白い文字が羅列する。

勉強は好きだ。努力すればするだけ、知識が身に付いていく。

将来の夢、まだ薄らとしかイメージ出来なくて焦燥感が募り出す。

高校三年の春。