~晃side~
「お~い、晃ぁこっちに運んでくれ」
「うっす」
返事をして、足元にある箱を言われた場所まで運ぶ。中には来週から出るクレーンゲームの景品が入っている。
それをあと5箱運ばないといけない。
チッ、めんどくせぇな…………。
振り返ると、女子高生が携帯を持ってキラキラした目で俺を見ていた。
この状況は、まさか………。
「ねぇ、お兄さんメアド教えて?」
「一緒に遊ぼうよー‼」
「ちょお、イケメンなんですけど‼」

そらきた。
俺の名前は、仲村 晃。
大学生二年生。今年で22になる。
訳あってここのゲーセンでバイトしてる。だが、女子高生に絡まれるせいで全然仕事になってない。
確かに185cmの身長でイケメンだったら、モテるのは仕方ないだろう。言っておくが、俺はナルシストじゃない。
「すまないが、俺は子供と遊ぶタチじゃない。諦めてくれ」
「えぇーっ、つまんなぁーい」
ぶーぶーと駄々をこねる女子高生の波を押し退けて、店前に出ると向こうから歩いてくる高校生の男女二人組を見つける。
おっ、今日も仲いいな。
男子高生はイケメンで、制服でよくわかんねぇけど、腹筋割れてんだろうな。
女子高生の方は…
「でねーっ!もう、『泣くな俺がいる』ってところで泣いたよもう‼」
「お前、相変わらずのめり込んでんな」
「じゃなきゃ、生きてけないのっ‼」
完璧なオタクだ。
アニメの感想をベラベラとマシンガントークの如く喋っている。腰まで伸びた黒髪に前髪ぱっつんに黒渕メガネ。
完全な地味子だな。
普通に考えればとなりにいる男子高生といるのがありえない。
なのに───。
「もう本っ当によかったのっ‼」
その見た目とは反対のオーバーリアクションをする女子高生。男子高生はそれを楽しそうな顔で聞いている。
「ハイハイ」
「もー、聞いてる⁉」
「聞いてる聞いてる」
青春してんなこの高校生男女。
にしても、本当なんでかわいい女じゃねーんだ?