~真依side~
朝、ゆっくりと学校へ登校──なんてしてるわけがないっ‼
「い~や~っ‼ち、遅刻したぁー‼‼」
言わないでも分かると思うけど、今遅刻してます。理由は昨日夜中までゲームしてアニメ見てたからなんだけど。
まさか寝坊するなんて思ってなくて、目覚ましをみたら、大寝坊‼‼
「もー、起こしてよーお兄ちゃ~ん‼」

キーンコーンカーンコーン♪

げっ。チャイムなったぁああああ‼
やばばばばばば。お、怒られるーっ‼
私はさらに勢いをつけて走り出し、校門へと近づいていくとそこには……
「真依ー‼お前かーっ‼」
「す、すすすいませーんっ‼」
担任の倉元先生が校門前にいた。
なんで今日に限っているのー⁉
「罰として今日中にプリント二枚提出‼」
「えぇぇぇぇぇぇ‼⁉」
嘘ーっ⁉
今日は阿奈と遊ぶ約束してるのにぃ‼
しかもそのプリントって全部埋めるまで二時間ぐらいかかるから、絶っ対やりたくないのに~っ‼
「いいから、早く行けーっ‼」
「 は、はぃぃぃいい‼」


「お、終わったぁ~……」
すでに時間は5時半を過ぎていて、グラウンドからは運動部の声が。
阿奈に謝り、プリントを終わらせた私の上に何かかたいものがあたる。
ん~、誰?
「どうでもいいから眠らせてよ~…」
「はっ、死んでやんの」
その聞きなれた声にバッ‼と顔を上げると。
「りゅ、りゅりゅりゅ、隆雅‼」
「なんつー驚き方してんだよ」
そう言ってフッと笑ったのは幼稚園からの幼なじみの木谷 隆雅。
手には冷たいジュースの缶が二つ。
背も高くて顔も超カッコイイのに彼女は一人もいない。その理由は、

『俺、好きな奴がいるんだわ』

そう言って泣かせた女子が何十人もいるもんだから、全校女子がこぞって隆雅の好きな人を探してるんだけど。
「見つかんないだよねぇ…」
当の本人はきょとんとした顔でジュースを飲みながら尋ねてきた。
「あ?まだ見つからねぇの?レア素材」
「違ぁーうっ‼見つかってないけど‼」
ちなみに隆雅もゲーマーなんだよね。
でも私とは天と地ってぐらいやりこみようが違うんだ。
全国大会でも一位をとるぐらい強い。
なのに、毎朝遅刻しないのか全然分かんないだよなぁ……。羨ましいっ。
「あ、そーいや今度あそこのゲーセンに新しいクレーンゲームが来るらしいぞ」
その言葉を聞いた私は目を輝かせて、隆雅の顔を見た。
「えっ、マジ⁉どんなの⁉」
「今人気のアニメのフィギュアが景品らしい。お前好きだろ?」
「行きます行きます行きますーっ‼」
「じゃ、日曜日あそこで10時に待ち合わせな」
「了解ですッ!!」