市川さんが、人数分の椅子とミルクを運んできてくれた。

三成とあたしと、知らない男子がふたり。

4人で丸いテーブルを囲んで座る。



「まずは、こいつらの紹介からだな」


三成がふたりを指さした。



「青藍が襲われたってことで、俺一人じゃ不安だから仲間連れてきたんだ」


あたしの向かいに座るのは、黒髪の男子と、その隣に座る茶髪の男子。



「この黒いのが山下で、茶色いのが藤本。ふたりとも俺の同中でよく一緒にアソんでたんだ」



茶髪の「藤本くん」は、雰囲気が派手で、三成と似たものを感じた。


一方で、「山下くん」と呼ばれた彼は、整った顔をしているけれど派手さはなく、全体的に気だるそうな雰囲気を放っている。

今だって頬杖をついて、興味がなさそうに話を聞いていて。

そんな彼の左耳には、三成と同じ、赤いピアスが付けられていた。



「……あ。もしかして、前に三成が話してた人?」



たしか、お店で一目惚れして、ふたりでお金を分け合って買ったと言っていたような。



「あー、それだ。よく覚えてたな。つーかまだ付けてるとか驚いたわ。不良からは足洗ったんじゃなかったのか?」


そう言いつつも、三成は嬉しそうに笑っている。



「そんな俺を呼び出したのはどこのどいつー? これは気に入ってるから、これからもずっと付けといてあげるけどー」


表情がないと思っていた山下くんは、意外にも柔らかい笑みを浮かべて耳元を触ってみせた。