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「萌葉、無事かっ?!」
ドアを蹴破る勢いで入ってきた三成は息を乱していた。
すぐに返事ができなかったのは、三成がどうしてここにいるのか理解できなかったから。
そして、入ってきたのが、三成だけじゃなかったから。
後ろに、高校生だと思われる見知らぬ男子が、ふたり、立っていた。
「三成、どうしてここに……?」
まずは最初の疑問をぶつけてみる。
お見合いで、事情は知らないはず。
黒蘭も、三成がいないから青藍を襲ったって中島くんが言ってたし──。
「はあ? お前が、助けてって俺のこと呼んだんだろ!」
「えっ?」
どういうこと?
見上げたまま、ぽかんと口を開く。
「呼んだって、何? 」
今度は三成が眉を寄せた。
「俺のスマホに、お前がライン送ってきたんだろ? 大丈夫か? 記憶喪失なのか?」
ラインなんて送ってない。
そもそも、スマホは中島くんに取り上げられて、手元にないんだから──。
そこまで考えて「もしかして」と、はっとした。
「三成、見せて」
「あ?」
「そのラインのメッセージ」
“ 俺に期待するな ”と、あの人はさんざん言っていたけれど。
「ほらよ」と手渡されたスマホの画面を凝視する。
【黒蘭の人に捕まった。人質にされてるみたい】
【どうしよう。青藍の倉庫が襲われたんだって】
【さっき本多くんが外に連れ出してくれたよ。きっと、市川さんのお店に向かうと思う】
【助けに来て、三成】
これを送ったのは、もちろんあたしじゃない。
この状況を知っているのは……そしてあたしのスマホを使ってこれを伝えることができるのは、ひとりしかいない。
3番目に送られたメッセージの曖昧さで、確信が持てた。
「家の用事が長引いて、気づくの遅くなっちまった。やべーことになってるみてぇだな」
困惑しつつも、信じるしかないと思った。
今のあたしがやるべきことが、はっきりと見えた。
「今から全部、説明するから聞いて。三成」