「ははっー、確かにそうかもしれねーな。」

光に当たると白く透けて見えるほどまでブリーチした金髪。
耳はピアスだらけで、服装だって フォーマルでも何でもない。

誰も、俺のこと 外見からして好青年だとは思わないな。

「どうせ死ぬなら、構わねーだろ⁇

この先、もし俺に騙されても 暫くしたら この世から消えて失くなるんならさ。

俺に話して、減るようなことは何も無い。違うか⁇」

近くに寄れば分かった。
寒さで青くなったその人の唇が 酷く震えていることが。

思わず、その唇に自分のものを押し付けた。

「私、貴方みたいな人嫌い。」

蔑んだ目。
その瞳に光は無い。
ただ 黒い瞳に、見ていると吸い込まれそうな黒い瞳に 俺の顔が写り込む。

「……寒そうだったから。」

「意味分かんない。」

そう言いながらも俺と話し続けてくれる。

「とりあえず、1回 海から出よう。
寒すぎる、足凍る。」

「凍っても構わない。」

「俺が困るから。ほら、出るぞ。」

その人の手を引いて、陸へと歩く。
初めは動こうとしなかったけど、強く引き続けると 根負けしたらしくて その人も歩き出した。