ザザーンッザザーンッー

響く波の音。
海へと歩を進める君。

追いかける俺。

親と喧嘩した後、俺は気晴らしにバイクを色々なところへ走らせていた。

俺がバイクを止めたのは、海辺。

水平線に沈んで行く太陽がすごく綺麗で……太陽のはずなのに、一瞬だけ 蒼く見えたような気がしたから。

いや、そんなのは表面上の嘘だ。

本当は、海の中へと1人 歩んで行く女性の姿が目に止まったから。

とても、美しくて 儚いものに見えた。

触れてしまえば、壊れてしまいそうで……でも、だからこそ 俺は 彼女に声をかけたんだ。

彼女がしようとしていることが分かったから。

「おい、何してんだよ。」

波の音もあるし、外だから 余計に聞こえにくいと思う。

俺は大声で彼女に向かって声を発した。

俺の声に反応して彼女は、振り返った。

「関係ないでしょう⁇」

正論で言い返されてしまった。

確かに、そうだな。
関係ないよな、さっき見かけて 気になったから 声をかけただけだし。

声を張り上げて話すのも大変だし、声出すことにあんまり労力を使いたくないし、俺は バイクを停めて 海の方へと……彼女の方へと向かった。