「あともう一つ言っておきたいことがあるの」


きっと、私と慶樹には『さよなら』なんてらしくないから……。

「私が引っ越すことは慶樹に黙っててくれる?」

「……え。ほんとにそれでいいの?希恵はそれでいいの?」

「……うん。いいの。さよならなんてらしくないし、それに……余計離れがたくなっちゃうもん」


それを聞いた結惟は微笑んで希恵の頭を撫でた。

「そっか……あんまり納得いかないけど、希恵が選んだ答えなら仕方ないか」