「なんでなれないの?
なにか、理由があるでしょ?」

優しい口調で聞く結惟。


「結惟に、慶樹に輝己くん、みんなに言おうとしてたことだったんだけど……私ねバレンタインの日、引っ越すことになったの」

「……え?うそ。希恵……引っ越しちゃうの?急すぎない?」


結惟は途切れ途切れに言葉を紡ぐ。


「お父さんが急に転勤になっちゃって……私も知ったのは昨日なの」

「だから……様子がおかしかったのね。
そんなの、やだな。せっかく希恵と……っ、なか…よく、なれたのに……っ」