そのすきに、少女は右肩に残っていた美園の手を振り払い、以前の公園での夜と同じようにあっという間に、二人から遠ざかって行った。

「あいつ水崎って言うんだ……」

ポツリと呟いた直人の言葉に美園がハッする。

「こっ、個人情報ですので、その……」

口ごもる美園の肩をポンッと叩いて直人は職員室の中に入って行った。

午後の2時間を子供達のパソコン授業に費やし、その後も担当に入った教師達の座談会に付き合い、ようやく開放された頃には子供達の姿もまばらな5時を過ぎていた。

(ハァ…マジで疲れるわ……ガキ相手と女教師…)

車のキーをポケットから取りだし、ドサッとシートに座り込んで大きなため息を1つ漏らした。