なあ、直人このあとカラオケでも行く?」

前の店でナンパした派手目の女子二人を両脇に侍らせた伸也が声をかける。

「直人君、行こうよ~」

茶髪を綺麗に巻いた長い髪を自分の指にくるくる巻着付けて甘い声で直人に走り寄ったのは、花田マリエ(21歳)

ネイルサロンの店員で同僚の田口綾(21歳)と女子会中に伸也が声をかけて見事にタダ飯タダ酒にありついた。

江藤伸也、直人の幼馴染みで今では二人で始めたゲーム会社が、起動に乗り高級スーツに高級腕時計がスラリとした、彼の容姿を一際目立つ存在にさせていた。

伸也の腕からすり抜け、自分の腕に止まりなおしたマリエの顔をチラリと横目で流し見てからゆっくりと腕を引き抜いた。

「わりぃ…俺、帰るわ…」

成宮直人、伸也と同い年の25歳。
伸也ほど派手な出で立ちではないものの、その端正な顔立ちは陶器で出来た人形のように、美しく繊細で伸也と二人で並んでいると、彼らの存在は回りの空気を圧倒した。

「何だよ…つまんねぇなぁ…」

伸也の呟きを無視するように、ヒラリと手を挙げて振り返った。

「んじゃ…」