オフィスに戻ると、信也が直人の帰りを待っていた。

「遅せぇーよ！」
「悪い、ちょっと色々あって……」

自分の部屋に戻り、デスクのイスにドカット座り込み信也の顔を眺める。

「何だよ、パソコン教室、何かあったのか？」
「……。」

直人は、暫く無言で何かを求めるように信也の顔を眺めてからようやく思い口を開いた。

「お前、この前会った子、覚えてる？」
「お～、綾ちゃんとマリエちゃんだろ？
昨日メート来て、又、飲み行こうって言ってたぜ！」

信也の、呑気な台詞に一瞬大きく肩を落として、ため息を漏らしす。

「そっちじゃねぇよ！」

呆れた様子の直人の言葉に、信也は他に出会った女性の顔を何人も思い浮かべている。

「公園のごみ箱で拾った子供っ！」

思いがけず大きな声が出たのか、隣の部屋にいる山下が慎重な面持ちで直人の部屋の扉を開けて顔を出した。