「とりあえず、飯買いに行くんだろ？」

助手席にポツンと座る小さな体に話かける。

「うん……」

美結の手のひらにのせられた１００円玉が1枚くすんだ輝きを見せていた。
近くのコンビニに行くと言う美結に付き添い、店内に入ると夕食の買い出しなのか、工事現場の作業員や学校帰りの中高学生などで、賑わっている。

そんな中、美結は慣れた感じでパンコーナーに行くと、3枚入りの食パンの袋を掴んで、レジの長い列に並んだ。

大人達の中に一際小さい美結の姿は、何となく滑稽だったが、夕食を買いに行くと言って店に来た美結の手にある食パンの袋は、それ以上に違和感があった。

直人が美結の方に近づいて行くと、彼女の後ろから来た女子高生が美結の存在に気が付かないのか、ペチャクチャとしゃべりながら、小さな体を押し退けるように、割り込んだ。