なるべく大事にならないように、遥を心配する人達には熱中症で倒れたと説明した。



それは、遥がそう望んでいるから。不平等が嫌いな遥のことだ。自分だけ優遇されたり、心配されるのが嫌なんだと思う。




お母さんは電話に出なかったからメッセージを残し、私は救急車に乗って遥を付き添った。



そして今、遥は点滴に繋がれたまま目を覚まさない。もう倒れてから数時間も立ってるのに……。





「琴葉!」



「遥生くんは大丈夫!?」



いきなり病室のドアが開いたかと思うと、息を切らした桜庭くんと麻莉奈が現れた。



額に汗が滲んでるところを見ると、体育祭が終わってすぐに病院へ来たみたい。




「遥はまだ、目を覚ましてないの」



それだけ告げると、ふたりは眉を下げて遥に近づく。