「遥生がいつも話してんだよ。自慢の姉だって」
自慢の、姉……。
そっか、遥は私のことそんな風に思ってくれてたんだ。友達にまで言うなんて、なんて姉思いなんだろう。
いつだって認めてくれるのは、遥だけだった。だから私も遥に依存してばかりだった。
でも、遥はもう……この関係から抜け出す準備はできてるのかな、なんて。
「遥生と琴葉は、仲いいんだな」
仲がいい。うん、確かに仲が悪いわけではないし、他の姉兄と比べたっていい方だと思う。
でも、きっとそれだけじゃない。仲がいいでは済まされないような何かが、私達の間にはあるんだ。
「って、今……琴葉、って」
「あぁ。村上ふたりいるから、いいだろ?」
確かにそうだよね。姉兄ふたりと話したのなら、紛らわしいから名前で呼んで区別するに決まってる。
でもそれに慣れてないのは、私と遥に共通の友達なんていなかったから。ただそれだけの理由。