離れなきゃいけない。そうは思っても簡単にはできなかった。
気づいても、遥と距離を置くことはできなかった。お互いに頼りきっていたから。
遥以外に話せる人はいない。だから、ひとりで行動する私のそばにいてくれたのは、いつだって遥だった。
遥もそう。当たり前かもしれないけど、病気のこともあって私から離れられなかった。
でもきっと、遥は昔から優しくて他人思いだから。私がひとりで過ごすのを見ていられなかったんだろう。
だから結局、今も続いているその関係。終わりはきっと……ないんだ。
「琴、3組だって」
自分のクラスが書かれた紙の前。隣からは遥の声が聞こえる。
この学年は6クラスあるから、遥と同じクラスになれる可能性は極めて少ない。しかも、双子なら尚更。
でも、なぜか次の言葉を聞くのが怖かった。
なぜだろう。遥が離れていくような、そんな気がした。またひとりになるような、そんな気が。