崇憲の笑顔に一気に疲れが押し寄せる。

わたしの心の奥底にある情が、なんとか通報するのを押さえる。


「ストーカーじゃねぇよ!」

「やってること完全にストーカーだからね!」

「ふざけんなよ。連絡とれないからずっと心配してたんだろ」

「心配なんて結構。あんたと連絡とらなくて元気にやってますから」

「ひどくね?俺、本当にお前に何かあったらと思って、心配でしょうがなかったんだよ」


わたしって本当に男運がないな。

こんな男にはまってたなんて消し去りたい過去だわ。


とっくに終わったんだから、わたしの存在さえ綺麗に忘れてくれたらいいのに。

男らしさの欠片もないな。

なんで好きだったのか、前の自分が理解できない。


「あんたに心配される筋合いなんてない」


ただでさえ龍成のことが気になって仕方ないのに、仕事終わりにこんな奴と話すのも面倒で、わたしは車に乗ろうとドアに手をかけた。


「華乃っ!待てよ!」

「わっ!やだ!離して!」