お父さんからの言葉は嬉しい反面、何も聞かされていないことにショックを受けた。


嫌われたわけではないんだ。でも、これで婚約者と言える?


お父さんの話が本当なら、龍成が頑張っているのに何もしていないわたしは、本当に龍成の相手にふさわしくないんじゃないか。


だって、わたしとの結婚の為に龍成がそこまで頑張る意味がわからない。

そこまでしてもらえる資格なんて、わたしには見あたらない。それもあんなに結婚に対して嫌悪感を抱いていた龍成だからなおさら。


そんな考えが頭を常に巡って、悪い方にばかり落ちていく。


だけどそれでもわたしは、龍成に会いたかった。

どんなことを思っても、龍成に会いたい気持ちだけは揺るがなかった。


ただ会いたい。あの、優しい笑顔に。


「心配するな」と言った龍成を信じて、今わたしができるのはきっと待つことなんだと毎日言い聞かせていた。



そして今日も、龍成からの連絡はない。