「もっと詰めたいなら好きなだけ詰めろよ。いくらでもやってやる。その代わり普通のサラリーマン並みの休みをよこせ。俺が死ぬ前に。じゃなきゃ労働局に通報してやるからな」


労働基準法なんて、この会社、というか俺にはまるでないからな。


目を離さず、じっと真摯に見つめていると、少ししてふっと麻友ちゃんが息を吐いた。


「……わかりました。そこまで言うなら譲歩して差し上げましょう」

「お!さすが麻友ちゃん!」


よし、これで時間が……


「ただし!これまで月一で行っていた海外出張をまとめて行ってもらいます」

「……?海外出張って、海外のグループ会社と取引先への挨拶だろ?」

「そうよ。今までは行っても月に二泊くらいのペースで済ませていたけれど、今回は残りの海外の全ての企業への挨拶が終わるまでは帰国させないわ」

「……それってどんだけかかるんだよ」

「これから相手先にスケジュールの打ち合わせの確認をしてからになるけど、うまくいけばひと月で終わるかもしれないわ」

「はあ?!うまくいってひと月?!?!?!」