──あの日、龍成にプロポーズされて本当に嬉しかった。


一生の思い出。今でも鮮明に覚えてる。


それからきちんと結婚して入籍するまでは、前とは違って婚約者として順立てて進めていこうって決めた。


だけど本格的に、大々的に結婚の話が進んでいくにつれて怖くなっていった。


この人とは住む世界が違う、そう感じてしまう。


結納をしたのだって超高級ホテルだったし、結婚式場だって一日貸し切りのお城みたいなところだし。

それも龍成が掛け合ったからだけど、そうじゃなければ神前になるとこだった。

白無垢も憧れるけど、やっぱり人生で一度の結婚式ならウェディングドレスでバージンロード歩きたいもん。


なによりわたし、着物は似合わない!これは成人式で実感してる!


そしてそして極めつけは新婚旅行がヨーロッパ一周!それはさすがに断ったけど!

海外なんてわたしには無理!


まぁ、全部龍成の親に出してもらうから文句は言えないんだけどね。

でもわたしは小さくても自分たちのお金で結婚式をやりたかった。

そんなん言ってたらいつになるかわからないけど。