「んなの結婚してからだって楽しめるだろ。忙しいのは今だけだ。結婚したら時間なんていくらでも…」

「違う。そんなんじゃない。龍成にはわかんない」


男の人、特に遊び人の龍成にはわからないよ、わたしの気持ち。


「華乃」

「だいたい、披露宴の招待客が500人ってなに?!桜庭家側なんて友達も含めて100人も満たないよ!」

「大半は会社関係だよ。これでも麻友ちゃんが絞ったんだ。嫌なら別でもう一回挙げるか?」

「あほか!二回も結婚式してどうするの!会社関係の人ばかりって味気ない結婚式!ていうか龍成はどうして結婚したいの?どうして結婚にこだわるの?」


──すると龍成がわたしを見つめ抱きしめた。


「お前といたいんだよ」

「ふん、どうせ親に言った手前引けなくなったってとこでしょ」

「ちげぇよ。……華乃、Marry me?」


耳元で優しく囁く龍成。


…このばか男。これで流されるとでも思ってんの?


「……Let me sleep on it.」

「あっ、華乃!」


龍成の手からすり抜け大股で立ち去る。


恋人気分も堪能できてないのに、結婚なんてできるか!!