「ですので、この戦略で他社に勝てる要素は充分にあり得ると思い──」


企画部のプレゼンに麻友ちゃんと出席中、襲いかかる睡魔から必死に耐え抜こうとしていた。


もう少し、もう少しで終わるはず。頑張れ、耐えろ俺。


「では、これにて企画部成田と蛯名のプレゼンを終了します」


よし、よく耐え抜いた!


「ちょっと待ってくださる?」


──げ。なんだよ麻友ちゃん。ここは素直に解散しとくべきだろ。


「はいっ、なんでしょう?!」

「先ほどの利点と欠点、矛盾を感じます。どちらかと言うとわたしは欠点の方が目につきました。これでは他社より上回ることが厳しく思えます。途中までは良かったのですが──」


……やばい、また睡魔が……。


大体、プレゼンに参加するなんて俺にはまだ早いっつーの。

その前に覚えなきゃならねぇことが山ほどあるってのに。


この内容自体、俺が介入していいもんじゃねぇよ。麻友ちゃん、わかってねぇな。


──くそ、いつになったら終わるんだ。とりあえず外の空気でも吸いてぇ……。