「奏に先に言われちまった。くそ、ムカつく」

「は?」

「…お前と早く二人になりたかったんだよ。本気で泥酔される前に」

「──!」


そ、そうだったの?

やばい、ちょっと、いや、かなり嬉しい。


「楽しかったか?」

「う、うん」


少し肌寒くなった夜。

龍成に手を引かれながら歩く街。

アルコールのせいだけじゃなく赤く染まる頬。風が冷たくても気にならない。

手も顔も、心でさえも温かいと思えた。


「良かったな。先輩と奏、どうだった?」

「ど、どうだったって言われても…。二人共イケメンすぎて驚いた」

「はあ?」

「慧さんはモデルみたいだったけど、わたし奏くん、めちゃくちゃタイプ!ときめいちゃった!」


実際、龍成もかっこいい方だとは思うけど、タイプ的には奏くんが好きだな。

ここまでわたしの理想の外見と性格の人、初めて見たよ。


……と、そこまで言うと、龍成のテンションが一気に下がった。