「んぎゅ」


イラつくあまり、華乃の両頬を片手で掴む。それはもう不細工で可愛い、何とも面白い顔になった。


「俺をそんな馬鹿な男と一緒にすんな。ぶはっ。…まず、俺はお前の姉ちゃんを、ぶっ。女だとは思えねぇ。あははは!」

「おい」


あんな怖ぇ女、滅多にいねぇよ。

……とは、言わない方がいいな。てか言いたくねぇ。


にしても笑える顔だ。


「……俺には華乃ちゃんだけ」

「趣味悪くね?」

「自分で言うなよ」

「いっ!痛い痛い!離ひて!」

「先輩が紹介しろってうるせーんだよ」


と、手を離したら離したでまた仏頂面。どっちにしろ可愛いらしい顔はこいつには無理か。


「始めからそう言えよ」

「てめ」

「無駄に妬かせること言わないでよね」

「………激萌え」

「なにその反応」



……だから俺はお前から離れられないんだっつーの。