ふざけた笑顔でわたしに近づく龍成。

あほかっつーの。


「黙れハゲ」


わたしはしらけた顔でそっぽを向いた。


「ぶはっ!華乃ちゃん最高!」

「華乃ちゃん?」

「それより星ちゃんとは結婚のことまで考えているんですか?」

「え?そりゃ考えてはいるよ。まだ付き合ってそんなに経っていないけど、真剣に先のことを考えられる相手だと思ったんだ。だからどんなに時間を掛けても振り向かせたかった。今が幸せで、この幸せを星となら一生続けられると俺は確信してる」

「…素敵…」

「お前、くさすぎのろけすぎ」

「龍成に言ったんじゃねぇよ。華乃ちゃんに聞かれたから言ったんだ」

「つーかお前さ、……」


……ただただ、わたしは感動していた。

わたしもこの二人ならずっと幸せでいられる気がした。


──やっぱり、結婚ってこういう二人がするものだよ。お互いを思いやって、それが幸せで、支え合っていける関係。


……わたし達には程遠い。

わたし達の関係は結婚するに値しない。

結婚したって、幸せでいられる確率は低すぎる。