「ごめん、ちょっとお手洗いに行って来るね」

「はーい」


星ちゃんがいなくなったのを見計らったのか、龍成が唐突に奏くんをいじり始めた。


「うまくいって良かったな」

「うるせーな。お互い様だろ」

「お前にしてはかなり真面目に時間掛けてたじゃねぇか。それだけ本気だったのか、中々落ちなかったのか」 

「本気に決まってるだろ。お前、わかってるくせに言わせるなよ。それも華乃ちゃんの前で」

「あ、ごめんなさい。聞いてませんでした」

「それ、絶対嘘でしょ。華乃ちゃんウケんだけど」


それはもうばっちり聞いていましたよ。奏くんの本音。

こんな風に想われている星ちゃんが、本当に羨ましい。


「まぁ聞いてないふりをしたくもなるわな。こんだけ熱いところを見せられちゃ」

「お前が連れてこいって言ったんだろ。俺らはこれで普通なんだよ」

「ここまでいちゃつかれると思わなかったわ」

「んなら、お前らもいちゃつけばいいだろ」

「じゃ、お言葉に甘えて。華乃ちゃん、ちゅーしよっか」