「なんだ、こんな時間に騒々しい」


龍成の後に続き、お義母さんとわたしはリビングに入った。


ソファーに座っているお父さんを、龍成は剣幕な顔で見つめていた。


「俺はこの先何を言われようと、嫁を傷つけるような仕事はしない」


……え?

龍成ったら、突然何を言い出すの?


「何をしに来たかと思えば、それを言いに来たのか。明日でも良かったものを」

「良くねぇから今来たんだろうが」

「……その様子だと、上手くいかなかったのか」


上手くって……。


何をすることかと思ったけど、あの流れで龍成がお父さんに会いに来たってことは、やっぱり仕事絡みだったんだ。

それなのにわたしったら……。


「上手くもなにも、あんな奴いらねぇよ。いくら仕事ができても、俺は必要性を感じない」

「それはお前が決めることではない。一般社員よりも会社のことを知らぬお前が、どうこう言えるものではない」

「んなこと百も承知だってんだよ!その上で言ってんだ!仕事だと何遍も自分に言い聞かせた!でも俺には無理だ!俺は!嫁を傷つける仕事だけは今後一切できねぇ!」