「……ひかりが道ばたで吐いたから、コンビニにティッシュとか買いに行ったら路地裏で後ろからいきなり……」

「いきなりなんだよ」

「……乳を鷲掴みにされた」

「──っ!」


華乃の言葉を聞いた瞬間、俺は立ち上がり華乃の手を取った。


「わっ!なに?!」


驚く華乃を無視して、手を引いたまま足早に部屋を出る。


焼け付くように、頭の中も腸も煮えくり返っていた。


ぶつけようのない怒り。どうにもできない相手への殺意。


「ちょっと!どこに行くの?!」


騒ぐ華乃に答える余裕もない程、怒りにまみれていた。

エレベーターに乗り携帯を取り出し、俺は麻友ちゃんに電話を掛けた。


「今どこだ?」

『え?会社からの帰りの車中よ。もうすぐ家に着くわ』