「……別に意味はない」


としか言えない。

事実を言ったところで五十嵐がどういうつもりだったか知らねぇし、俺は外したくなんてなかった。


「なにそれ。意味があるって言ってるようなもんじゃないの」

「ないって言ってんだろ!」


くそ、何て言ったら納得するんだよ。変な嘘はつきたくねぇんだよ。


「信用できるか!意味がなくて外すなんておかしいでしょ!」

「知らねぇよ!五十嵐に聞け!」

「誰だよ!!」

「──っ……」


そうだよ、五十嵐を出してどうすんだよ。馬鹿か俺。面倒になるだけだろうが。


どうしようもなくイラつく。五十嵐に?自分に?華乃に?


……五十嵐以前に、俺が悪いんだよな。指輪を外す前に、キャバクラに行く前に、親父にしっかり断っておけば良かったんだ。


何を言っても今更だ。


「なによ、五十嵐って人に外されたの?」

「……もうキャバクラには二度と行かねぇから。それでいいだろ」