これまた随分と爽やかな男だな。笑った顔に嫌みがない。きっと人生真っ直ぐ生きてきたんだろうな。

華乃が好みそうな男だ。


「そうですけど、どちら様ですか?」


俺も負けずに笑顔で返す。──って、何対抗意識燃やしてんだよ俺。


「桜庭さんと同級生の内川新です。偶然会ったもので、宮間ひかりと三人でいたんですけど、宮間がタクシーで寝てしまい俺がここまで送ることにしたんです」


ああ、あそこに停まっていたタクシーはこいつを待っていたのか。てことはあのタクシーに華乃の友達が乗ってたんだな。


「そうだったんですか。それはどうもありがとうございました。妻がお世話になりました」


軽く頭を下げる。人のことは言えないが華乃は酒臭い。

酔った華乃を送ってもらえたのはありがたい。送ってもらわなければ、華乃はマンションには来れなかった。

華乃に会いたかった俺からすれば、感謝せずにはいられない。


……こいつの話が本当ならば。


「いえ、それじゃ失礼します。桜庭さん、お疲れ」

「あ、うん!本当にありがとう!気をつけてね!」