「いらねぇよ。お前が何をしたいのか知らねぇが、お前ほど人間性に欠けた奴、うちの会社には必要ない」

「そ、そんなこと言っていいのかよ。俺があんたのことを週刊誌にリークすれば、神田グループは確実に痛手を負うぞ」


──はあ。

ここにきてそういう脅しかよ。救いようねぇな。きっとこいつは一流の営業マンにはなれない。

今の調子は神がかっているだけだ。そのうち確実にボロが出る。


「勝手にしろよ。俺にとっちゃ、んなくだらねぇことどうでもいい。お前に何を言われても、俺がお前の言いなりになることは二度とない」

「龍成さん──……」


アキちゃんが幼気な顔で俺を見つめていた。


こういう時に俺の本性が露わになる。アキちゃんの顔を見ても、何一つ思わない。何の感情もわいてこない。

他人は心底どうでもいいと思っている。男であっても女であっても。

冷酷なことをいくらでも言えそうな自分が、ある意味恐ろしく感じる。


「仕事と恋愛は別だと割り切らないと、アキちゃんみたいな軽い子はすぐ男に騙されて貢ぐ側になるぞ」

「……龍成さんになら騙されてもいいよ」