「………え?」

「すればいいだろ。つーかこっちから白紙にさせてもらうわ」


アキちゃんの手を振り払う。愛想笑いが消えた俺の顔を、三人は目を丸くして見ていた。


──親父、もう限界だ。

やっぱり俺にはヘッドハンティングなんて上手くできない。


仕事人になれない俺が悪いと言うのなら、いくらでも咎めればいい。

でも、俺はこんな奴、いらねぇよ。いくら仕事ができても、必要とは思えない。


これでも今まで会社の為、親父の為と思ってこいつの言うことを聞いてきた。


けどもう無理だ。こいつを受け入れることは、俺には不可能だ。


人を見極める権利なんてないのは重々わかってる。その前に会社に必要な人材かなんて、俺にはわかるわけがない。


……それでも。


「…いいんですか?あれだけ俺を落とそうとしていたのに」


自信たっぷりだった五十嵐の表情が崩れ始める。何をしても俺が許すとでも思っていたのか?

勘違いも甚だしい。