「……そうっすね。まだ迷いもありますが、だらだら待たせるのも気が引けるし、決めますよ」

「ありがとうございます」


イントネーション的にこれは断りそうだな。それなら即行で帰……


「神田グループにお世話になります」


………え。


「……本当ですか?」


思いきり疑いの眼差しを向けてしまった。しかしこれは信じ難い。


「やだなぁ、疑わないでくださいよ。ご存知でしょうが、こんな俺でも仕事関係はしっかりやりますから。今週中にでも会社に退職願いを提出します。再来月には入社できるよう、入社の準備、お願いできますか」

「はい、もちろん早急にさせていただきます。ありがとうございます」


マジかよ。予想外もいいとこだ。

来る気がないと思ったら、入社すんのか。拍子抜けだ。……うわ、なんだか帰りづらくなったな。


「こちらこそ神田さんと仕事できるの、楽しみにしてますよ」


にっこりと微笑む五十嵐。


……なんか怪しいんだよな、この態度。後から気が変わっただの言わねぇよな?