真奈美ちゃんとアキちゃんが支度をしている間に五十嵐に決断させて、二人が戻る前に俺は帰るつもりでいる。


店の前で二人を待つ、今がいいタイミングだ。


「五十嵐さん、どうですか?お気持ちは固まってきてますか?」


問いかけた俺に目を向け、五十嵐は口角を上げた。


「そんな急かさないでくださいよ。気が早いな」


んなこと言われたって、どうでもいいから早く終わらせたいんだよ。


「弊社といたしましては、少しでも早く五十嵐さんにお越しいただきたいもので」

「その気持ちもわかりますが、移籍するんですからそれなりの覚悟とかあるじゃないっすか」


絶対ないだろ、その言い方。


「五十嵐さんのご期待に添える待遇は用意させてもらいます。不自由のない環境を整えます。できることなら今のお気持ちをお聞かせください」