「お待たせいたしました!マナちゃんとアキちゃんです!」

「いらっしゃいませー!」

「こんなすぐ来てくれて嬉しいー!」


いいタイミングで来てくれた真奈美ちゃんとアキちゃん。今回は指輪を外さずにすんだ。

でもあまりに五十嵐の機嫌を損ねるとまずい。左手は視界に入らないように控えた。


こいつ、今日で入社を決めないならばっさり切り捨ててやる。俺はやるだけやったんだ。

それで親父が文句を言うなら、俺が営業でもなんでもやってやる。始めからそうすりゃ良かったんだ。


華乃にメールは入れといたけど、今回はどうなることやら。ま、問い詰めてくれた方が却って俺から言いやすくはなるが、喧嘩になる可能性大だな。

仕方ねぇ、俺の失態だ。自分のケツは自分で拭くしかねぇ。


と考えているうちに、アキちゃんは手早く水割りを作り俺に差し出す。


「どうぞ」

「どうも」


受け取り乾杯。一口流し入れた。

変に濃いが、酔える気がしねぇ。