「具合でも悪い?顔色あんま良くないけど」

「え?あ…大丈夫です…」


お手洗いから出ると、見知らぬ男の人に声をかけられた。

わたし、そんなにひどい顔してるのかな。


「無理しなくても、外の風にあたるとか、水でも飲んだら?」

「いえ、本当に大丈夫ですから」


大丈夫だって言ってるのに、なんなのこの人。しかもわたしのあとをついてくるし。

酔っ払ってるからって金品でも奪おうとしてるの?

残念ながら金目のものは持ち合わせてないですよ!


わたしは足早に個室に向かった。


「え、なんか勘違いしてない?」


知らんわ!

と個室の扉を開けた。


「華乃ちゃんおかえり~!大丈夫?」

「はい、遅くなってすいません!あの…トイレから戻る途中で…」


なんて言おう。不審な男がいたとでも言えばいいのか?